50代目前にして父を看取った時、我が家にはお墓がありませんでした。父が寝込むようになってから両親はお墓について話はしていたようですが具体的に何か進むところまではいっていない状態でした。この記事では母と私がお墓を探すために選んだポイントや実際決めたあとよかったこと、二度の納骨を終えた今の思いをお伝えします。
父が亡くなったのに納骨が出来ない
50代目前に自宅で父を看取りました。葬儀が終わって家族もそれぞれの家に帰った頃、母が私に「一緒にお墓を探してほしいの」と言ってきました。父は長男ですが次男にあたる叔父が実家を継いでいましたので我が家には入れるお墓がありません。父の身体が弱ってきてからお墓の話をしてはいたようですがぼんやりとした希望があるだけでした。そこで私はまずどんなお墓が希望なのかを聞いてみました。母の希望は以下のようなものでした。
- 檀家にならなくていい
- 母が一人で通える場所
- 支払いが一括で後々の支払いが不要
- 出来れば樹木葬
- 夫婦二人で入る場所(子供は入らない)
このような希望を基準にまずはネットで家から通える範囲の樹木葬を調べました。調べていくと自分達では考えていなかった条件も色々あることがわかりました。同じ樹木葬という名前でも整備された場所に区間を区切って納骨するタイプやより自然に近い山肌のような所に納骨して銘板などは何もないタイプ、30年経つと共同墓地に移されるところ。一つひとつの条件を確認しながら3箇所に絞ってカタログを取り寄せました。70代の母にはネットの情報だけでは納得できず、また二人そろって条件を確認しながら話をするにはやはり目の前に紙のパンフレットがあるほうがやりやすかったです。
現地を見学に行くとパンフレットとの違いが…
3箇所に絞って検討した結果それぞれ現地へ行って実際に見て担当の方からお話も聞くことにしました。
最初に行ったところは自宅から電車で20分、駅から徒歩で10分くらいの場所で家から一番近いところです。お寺の中なのですがお寺の墓地とは別の敷地に樹木葬があります。担当の方に案内されたのは苔むした日陰の庭の一角でした。辺りに樹木や花は見当たりません。地面に直径15センチくらいの丸い石がポツポツと埋まっています。これがお墓でした。知らない人が見たら踏み石にしてしまいそうな感じです。担当の方に「パンフレットでは花にかこまれていましたが…」と聞くと「今の時期は花はありません」と言われました。時期は真夏です。ほかの時期にはお花を植えているのかはわかりませんでした。
次に見学したのは樹木葬専門の墓地です。とてもきれいできちんと整備されていました。区画ごとに名前の記入された銘板がはってあり、そこここに若木が植えてあります。墓地自体の広さもかなり広く小高い丘から空が広く見えて気持ちのいい場所でした。一区画二霊で80万円〜と価格も予算内です。こちらの墓地では30年経つと骨壺を区画から引き上げて集合墓地に埋葬し直すということでした。気になったので質問すると、骨壺を引き上げた区画は再販売されるそうです。なので墓地を買うというよりは30年区画の使用権利を買うと言う感じでしょうか。
最後に訪れたのはローカル線で30分、駅から徒歩で3分の場所にあるお寺の中の墓地です。お寺の墓地を通り過ぎて階段を登ると高台に樹木葬の墓地があります。墓地からは海が見えます。樹木葬と謳っていますが樹木はほとんどなくかわりにさまざまな花が植えられています。薔薇のアーチもありました。こちらでは区画は芝生で一区画が30センチ四方くらいです。かなりの傾斜地だったのでふと思い立って「土砂崩れなどがあった場合どうなりますか」と聞いてみました。「お骨が巻き込まれてしまった場合はもとに戻せないと思いますが区画は整地して元通りに整えます」とお返事をいただきました。
永代供養墓に決める
3箇所を見学して感じたのは、百聞は一見にしかずということでした。やはりパンフレットだけでは本当のところは分かりづらく現地を見ることはとても大切だと思いました。母と私が最終的に決めたのは3件目に見学に行った墓地です。決め手はいくつかあるのですが永代供養だったことは大きかったです。自分が買った区画に夫婦二人で永遠に眠れることは母にとって安心できることだったのでしょう。花が咲き乱れて海が見える環境も気に入ったようでした。
契約の時に細かい条件を確認すると料金はいくつかの項目に分かれていました。区画購入費が2霊で50万円。それぞれの納骨時に5万円づつ、銘板に名前を彫るのに3万円などです。契約と同時に父の納骨の申し込みもしました。父が亡くなってからすでに1年以上が経過していました。こちらでの納骨はお骨を粉砕してから絹の袋に入れて土に埋葬するというやり方でしたのでお骨を粉砕する時間をとって1ヶ月ほどあとに納骨することにしました。
納骨式の日、オプションにあったのでお寺の住職にお経をあげていただいてから納骨をしました。お骨が家になくなるとさみしいのではないかと母を心配しましたがむしろホッとしている印象を受けました。普通は銘板に名前を刻むのは亡くなってからにするそうですがうちは母の希望で父と母の名前をいっぺんに彫ってもらいました。母いわく「表札みたいでしょう」ということで二人だけの終の棲家がととのいました。
この墓地にして良かったこと、困ったこと 今思うこと
たびたび墓参りをしたいからと家から行きやすい墓地を探した母でしたが納骨の後墓参りをしたのは結局一度だけでした。父の納骨から幾らもたたない頃に病気が見つかり、どんどん弱ってしまい亡くなったからです。病気が見つかった時「墓参りに行きたい」とさかんに言っていた母でしたが、急な傾斜地にあるため階段を登る体力がもうありませんでした。「いずれ体力が落ちたらこの階段も休みながらしか登れないね」と契約の時に話したのですがまさか半年後に登れなくなるとは思いませんでした。高台の墓地にしたことを母は後悔したでしょうか。坂道を転がるように弱っていった母は亡くなり、私は1年の間に両親二人を納骨することとなりました。母の死は突然で悲しかったのですが納骨の日二人を一緒にできてホッとした気持ちにもなりました。
今、時々墓参りに行くといつでも季節の花がにぎやかに咲いていて雑草もなくきれいに手入れをされた状態です。心を込めて世話してくださっているのがよくわかります。また、お骨を粉砕して絹にくるんで土中に埋葬したのでいつか土に帰ることができるのもこの墓地のいいところだと思うようになりました。父も母も安らかに眠っているだろうと思えるこの場所にしてよかったと思います。
母の希望をできるだけとりいれて次のようなお墓を決められたことは
まとめ
お墓探しは最初にある程度の自分の希望や予算をはっきりさせたほうが上手くいくと思います。そしてぜひ現地へ足を運ばれることをおすすめします。パンフレットではわからない手入れがされているかどうかなどは一目見るとわかります。また、係の方に会って細かい条件なども確認できます。お墓に入る人が納得できることはもちろん、残された人も気持ちよく墓参りができる場所が見つかると良いですね。
